ICF(国際コーチング連盟)の資格認定要件のひとつ、ICF Credentialing Exam(クレデンシャル・エグザム)は、実技試験を終えたあと、ICFからの案内にしたがって受験します。この試験はいわゆる暗記や試験対策では合格が難しいため、コーチを目指す方からよくご相談をいただきます。
そこで今回は、クレデンシャル・エグザムが難しい背景と、試験合格に向けて押さえるべきことをお伝えします。
ICF Credentialing Examとは
クレデンシャル・エグザムはICFのコーチ資格を取得する際に受験必須の試験です。ICFプロフェッショナルのコーチが、ICFコア・コンピテンシー(プロコーチの能力水準)とICF倫理規定に基づいたコーチの知識と能力を備えているのか、オンラインテストで測定します。
認定資格試験 ICF Credentialing Examは、ICFのコーチングの定義、ICFコア・コンピテンシー、ICF倫理規定について、コーチの知識と適用能力を測定するために設計されたコンピュータベースの筆記試験です。
ICFJapan公式サイトより
ICF Credentialing Examが合格できない理由
この試験は、付け焼き刃の丸暗記では正しい選択ができません。
クレデンシャル・エグザムはセッション中に起こりがちなシナリオに対し、4つの選択肢から「最善な行動」と「最悪な行動」を選ぶというもの。問題文に書かれている前提をもとに選びます。
ここに暗記では合格できない理由があります。それは、この問題文がコアコンピテンシーの”どの項目から”出されている問題なのかを読み解くことができないと、ベストの選択肢を選ぶことができない設計になっているからです。
また、テストは日本語での受験も可能ですが、英語の原文を読まなければ意図を正確に捉えづらい点も、合格率が低い背景にあると思います。
倫理規定やコンピテンシーをただ読むだけではなく、この項目は「つまりどういうことが書かれているのか」まで踏み込んだ自分なりの理解がなければ答えるのが難しいのです。
(例題)
コーチは、新しいビジネスを成長させている見込み客と会っています。コーチと潜在的なクライアントは、すぐに簡単な接続を確立します。コーチは、クライアントと一緒に仕事をする機会に興奮しています。コーチとクライアントが会話を終えようとしているときに、見込みクライアントは新しいビジネスの名前について簡単に言及します。コーチは、同じコミュニティ内のより確立された競合他社のビジネスへの投資家であるため、ビジネスを認識しています。コーチは何をすべきですか?
ICF Credentialing Exam Content ※日本語訳はGoogle 翻訳による
(選択肢)
・何も言わないでください。競合するビジネスへの投資家としての役割と、コーチとしての役割を分けて考えるようにしてください。
・企業名に聞き覚えがあることを共有し、その夜遅くにそれが競合企業であるかどうかを判断するために心の中でメモしておきます。
・潜在的なクライアントがコーチによるコーチングを追求する場合にのみ、競合他社のビジネスへの投資家としての役割を共有します。
・競合するビジネスにおける投資家としての役割を共有し、クライアントと利益相反が生じる可能性を認識します。
ICF Credentialing Exam Content ※日本語訳はGoogle 翻訳による
設問と解答例だけ知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください
ICF Credentialing Examは「経験を積む」が近道
ICF倫理規定とコアコンピテンシーは経験しなければ分からないことが多くあります。コーチングはクライアントとの対話が前提になる行為ですから、良いコーチの判断基準と倫理観をテキストだけで理解するのは、テスト勉強だけで自動車の運転免許に挑戦するようなもの。
コーチの行動・倫理観は、有資格者(プロコーチ)による学習支援によって磨かれます。「対策」という形で一時的に学ぶものではなく、コーチである限りずっとそばに置いて学び続けるものなのです。
ポートフォリオパスは、クレデンシャル・エグザムで不利になる?
ICF認定資格を取得するには、ICFから認定されたトレーニングプログラムで申請できる「ICF Coaching Education(Level 1〜3認定)」と、ICF非認定のコーチングトレーニングを規定時間以上受けて審査を依頼する「ポートフォリオパス」があります。
ICFの認定プログラムの場合、コースの中に倫理規定・コアコンピテンシーの学習時間が必須で組み込まれています。その時間では短く、認定コースの皆さんも別途学習時間を設けてクレデンシャルエグザムに取り組んでいる状況です。ポートフォリオパスで申請される皆さんは、必然的にコアコンピテンシー、倫理規定を学ぶ時間が短くなると考えられるため、クレデンシャル・エグザムに対応する学び・経験も少なくなります。資格取得を目指しているみなさんは、早めに準備されることをお勧めします。
ICFの倫理規定・コアコンピテンシーの理解を深めれば、国際基準のコーチスキルが手に入る
クレデンシャル・エグザムで扱う倫理規定とコアコンピテンシーは、プロコーチに必要なクライアントへの関わり方、求められるスキル、プレゼンスの基準をまとめたものです。これらを学ぶことでご自身のコーチングスキルを国際的な基準値まで引き上げることができます。
まず、倫理規定とコアコンピテンシーをしっかり理解し、身につける学習環境に身を置きましょう。ご自身のスキルアップになり、クレデンシャル・エグザムの正答率も結果的に上がるはずです。
そしてもうひとつ大切なこと。練習しないプロはいません。
プロコーチは必ず自身もメンターコーチをつけて、セッションへのフィードバックを受ける機会を設けています。加えて継続的に学べるコーチング勉強会に参加し、業界の最新情報や学びに貪欲です。コーチングはマンツーマンかつ密室で行うものですから、独りよがりのコーチングにしないためにも客観的に自分をチェックする機会は必ず設けましょう。
ほしのゆかりによる継続学習支援の強み
ほしのオフィスではICF認定資格取得に向けた学習支援を行っています。コーチングスクールでは難しい個々の理解度に合わせた学習設計と、MCC認定を受けたコーチによる的確なフィードバックが強みです。
ほしのオフィスの継続学習支援は4つあります。
- 個人セッション
- メンターコーチング
- グループ勉強会
- グループセッション
それぞれのメリット・違いはこちら
マンツーマン・倫理規定/コアコンピテンシー個人セッション | 倫理規定/コアコンピテンシーグループ学習会 | |
---|---|---|
参加人数 | 1人 | 8人(2024年2月実績) |
メリット | ・自分のペースで学ぶことができる。・理解できていない項目がどこなのかよくわかり、深めることができる。 | ・多様な事例/多彩な解釈を学ぶことができる。 |
グループ学習会・グループセッションは外部サイトからお申し込みが可能です(外部サイト)
個人向け倫理規定・コアコンピテンシー個別セッション
一定の理解・経験があるにも関わらず、クレデンシャル・エグザムに合格できなかった方は、マンツーマンの倫理規定・コアコンピテンシー学習会がおすすめです。
PCC認定コーチによるフィードバックを受けることができます。
参加者の中にはコーチングスクールの運営者もいらっしゃいます。受講生への伝え方、継続学習ができる場づくりを知りたい講師の方にも評価をいただいている勉強会です。
\お問い合わせはこちら/
マンツーマン個別セッションの進め方
基本的にICFの倫理規定とコアコンピテンシーの理解・実践を目的に学びを深める場です。答え合わせをする場ではなく「対話を通じて理解を深める場」だと捉えてください。
お互いに自己紹介したのち、倫理規定・コアコンピテンシーの理解度と学習の目的を確認し、個々の目的・理解度にあわせて、以下の内容を1〜6回程度、個人のご希望に沿って行います。
コアコンピテンシーの読み込み
倫理規定、ICFのコアコンピテンシーを、双方がどのように理解しているのか、ディスカッションしながら確認して深めていきます。
クレデンシャル・エグザムのヒント
倫理規定・コアコンピテンシーの理解度は高いものの、なぜか試験に落ちてしまった方向けのアドバイスです。ICFで公表されている例題をもとに、設問がコアコンピテンシーのどの項目を重視して出題されているかを見ます。
まとめ「合格」よりも高い目標に向かって、コーチングスキルを高めよう
ここまで読んでいただいた方は、クレデンシャル・エグザム合格を目標にされていると思います。見方を変えれば、この試験を国際基準の知識と倫理を学ぶ良い機会と捉えることもできます。
マンツーマンのセッション、グループ学習会、どちらも最初は「試験合格のために」と申し込まれた方も、気がつくと「コアコンピテンシーって面白い ! 」や「セッションを通してクライアントにどのように貢献できるのか考えるようになった」「自分が当たり前にできていたところと、盲点について気がついた」など、この学びの機会を、ご自身の成長の好機へと発展されています。
資格合格よりも高い「クライアントへの高品質なコーチングの提供」を目標に、プロコーチとして生きるために必要な学びを身につけましょう。そうすれば、ICF認定資格を取得できた後も、自信を持ってプロコーチを名乗ることができるはずです。
ほしのオフィスへの学習支援について、お気軽にお問い合わせください。一緒にスキルアップを目指しましょう!
\お問い合わせはこちら/