内向型と外向型の違いを知ろう。内向型のコミュニケーションのヒント

人の気質は、大きく内向型と外向型に分けることができます。一般的には、内向型は内気で人見知り、外向型は積極性がありポジティブと考えられていますが、外に出ている時には明るく元気に”ふるまう”内向型も存在します。また、外向型が内向型よりも優れているわけではなく、外部からの刺激の受け方に違いがあるだけです。

内向型と外向型は単なる性格の違いではなく、生まれ持った脳の作りにも違いがある場合があります。その他の自己理解とも通じるのですが、内向型と外向型の違いを客観的に学び、異なるタイプの人とも上手にコミュニケーションをとるヒントになれば幸いです。

目次

内向型と外向型とは?

「内向型」「外向型」は、1921年に刊行されたカール・ユング著の「心理学的類型」によって定義され、広く知られるようになったと言われています。

性格心理学の中でも、内向型と外向型についてはさかんに研究がおこなわれており、より深く理解が進んでいると言ってよいでしょう。MBTI®️や、16personality などが話題となっており、E(外向型)かI(内向型)かということは、広く知られるようになっています。動物たちの世界にも内向型と外向型は存在すると考えられており、環境による後天的な影響だけではなく、生まれ持った脳の作りにも違いがあるという研究結果もでています。

パーソナリティ検査の最終回答とも呼ばれる「特性五因子論(ビッグファイブ理論)」では、次の5つの因子で性格の特徴を分類しています。

  • 誠実性
  • 調和性
  • 開放性
  • 外向性
  • 情緒性

このうち、外向性とは他者とのコミュニケーションや新しい出会いに対しての反応を示す因子です。外向性が高い人は外向型、外向性が低い人は内向型であると考えることができます。
ただし、外向型と内向型は単純な表裏一体の性格的な特性ではなく、特定五因子論における分類も完全ではありません。例えば、内向型と外向型では必要とする刺激のレベルが異なる点も研究の結果分かった特徴の違いです。

内向型と外向型の特徴の違い

内向型と外向型では、必要な刺激のレベルが異なります。さらに、神経伝達物質に刺激を与えた際の反応にも違いがあることが分かっています。

内向型と外向型では、行動や性格に特徴の違いが見られます。

内向型外向型
ひとりで過ごすことで元気になる人との交流によって元気になる
注目されることを避ける注目されたい
あらゆる可能性を考えてから行動する行動しながら考える
自身のプライバシーは少数の人にしか話さないプライバシーも気軽に共有する
生活において刺激をあまり必要としない飽きっぽく生活に刺激が必要
ささいなことが気になる気が散りやすい
文字でのコミュニケーションが好み口頭でのコミュニケーションが好み
ひとりでする仕事が向いているグループで働くことに向いている
慎重に言葉を選ぶ思ったことをすぐ口にする
集中力を発揮するのは得意瞬発力のある作業の方が得意

主に、他者との関わり方での行動に違いがあります。例えば、外向型は社交的で多くの人と話をすることを好みますが、内向型は他者と交流するよりも自分の考えをまとめることに関心が向かう傾向があります。

自身が内向型なのか外向型なのかを知りたい場合、普段からの自分の行動をメモするなどして、内向型、外向型のどちらの特徴の傾向に当てはまるかを確認してみるのもよいでしょう。

また、どちらも特性も備えており、自分がどちらかわからないということもあると思います。それで大丈夫。人間は複雑な脳を持っていますし、二面性・三面性・それ以上を持ち合わせています。こういうシーンでは外向型の自分が出るな、また異なるシーンでは内向型の自分がいるな、まずはそこから認識してみましょう。

内向型と外向型を分けるもの

内向型と外向型を分けるものは、単純な性格の違いだけではありません。先天的な脳の作りによる影響と環境による後天的な影響が複雑に絡み合い、内向型と外向型の気質に分かれます。

例えば、アメリカの発達心理学者ジェローム・ケーガン教授の子どもを対象にした研究によると、外部から偏桃体に刺激を与えた際の反応の大きさで将来的に内向型と外向型のどちらになるかの傾向が分かると考えられています。

反応の大きい子ども大きな刺激を必要としない内向型の傾向がある
反応の小さい子ども強い刺激を求める外向型の傾向がある

内向型と外向型には、生まれつき異なる脳の特徴がある場合もあるため、内向型の人が自身の意識だけで外向型として振る舞うことには無理が生じるのです。

内向型と外向型が付き合うには?

現在の社会は外向型文化であると言えるため、内向型の人が円滑に社会生活を送っていくためには外向型と上手に付き合う必要があります。

特に、会社組織などでは、多数の人とコミュニケーションを取ることを苦にせず、本質的に注目を集めたい性質を持つ外向型の発言力は大きくなります。ただし、これは単に性質が異なるだけで、内向型よりも外向型が優れている訳ではなく、著名なリーダーには典型的な内向型の気質の方も少なくありません。

内向型と外向型は相反した性質を持ちます。そのため、内向型と外向型は反発し合うように誤解してしまいますが、内向型と外向型は本質的に惹かれ合う傾向もあります。

内向型が外向型と上手に付き合うには、次のような点を意識するとよいでしょう。

  • グループではなく1対1で向き合う
  • 内向型と外向型の違いを認識する
  • 傾聴できる内向型の特徴を活かす

グループではなく1対1で向き合う

内向型が外向型の人とコミュニケーションを取る場合、グループでの会話ではなく、1対1で向き合って会話をするのが基本です。

外向型は大勢での会話が得意ですが、1対1でのコミュニケーションが苦手な訳ではありません。無理をして外向型のホームグラウンドに飛び込むよりも、1対1で会話できるシチュエーションを意識する方が効果的にコミュニケーションを取ることができます。

交流会や会議などの多数が集まる場よりも、対面してコーヒーを飲みながらなど、1対1で向き合うことを意識しましょう。

内向型と外向型の違いを認識する

内向型と外向型には正反対とも言える特徴の違いがありますが、本質的に内向型と外向型は惹かれ合う性質があります。

社会生活を送るうえでは外向型の方が適している印象がありますが、外向型は大勢の初対面の人とすぐに仲良くなることは得意でも、1人に対して深く付き合うことを苦手としている場合があります。また、多くの外向型は、細かな作業や集中力を必要とするタスクを得意としません。つまり、内向型と外向型は得意、不得意の分野が異なるだけで、外向型にも苦手としている分野があるという点を認識しておきましょう。

そのため、1対1でのコミュニケーションが得意で、かつ集中力のある内向型が外向型をフォローできるシチュエーションも少なくありません。

傾聴できる内向型の特徴を活かす

傾聴できる能力が高い点は、内向型の最も優れた長所の1つでもあります。

内向型は交流会や会議などの場で自分が中心になって発言するのは苦手ですが、話題を傾聴し、問題点や対策を考えることは得意としています。そのため、外向型が積極的に発言を交わす場で、話の核心となる部分に注目して、抜けなく課題や問題点を指摘することが可能です。

ですので、積極的な発言が求められる場でも、内向型は傾聴する能力で存在感を発揮することができます。

内向型と外向型は本質的に惹かれ合う。先天的な部分と後天的な部分が内向型と外向型を分かつ

内向型と外向型を分けるのは、単純な性格の違いだけではなく、先天的な脳の作りなどによる影響と、後天的な環境などによる影響が複雑に絡み合っていると考えられています。

そのため、内向型が無理をして外向型になろうと考えるのは得策ではありません。

現代社会は外向型中心の社会であると言えますが、内向型と外向型は本質的に惹かれ合う傾向があります。内向型と外向型の違いをしっかりと認識し、内向型の強みとなる部分を知っておくことで、自分の特性を活かしながら周囲の人とコミュニケーションをとることができます。

参考:
「静かな人」の戦略書 ジル・チャン ダイヤモンド社
J-STAGE 主要 5 因子性格検査の尺 度構成

自分の扱い方を知ること

ほしのオフィスでは、内向型の方向けコーチングをスタートする際には、最初に自己理解のための学びの時間も設けています。数種のアセスメントを用いながら結果についてディスカッションをし、それらが日常のどのような場面でどのように発動しているのか理解を深めていきます。

その後のコーチングの時間では、自分がどんなことに反応しやすいのか、どんなことで喜怒哀楽を感じるのか、そしてそれらを「どう扱いたいのか」を知り、実際にいろんなことに取り組みながら、「扱える自信」も育んでいきます。

私たちは、たとえどのような出来事/体験に遭遇しても、どうして自分がそうしたのかと言語化できるとほっと安心できます。そして、確かに大変だけど「なんとかなりそう」と思えるようになっていきます。

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この記事を書いた人

期待された役割、刷り込みの役割を演じていると、傍目からみてどんなに恵まれた環境にいても、人は疲弊してしまいます。私自身「自分らしく生きる」「幸せとは」を追求し、仏教を学び、コーチングに出会いました。コーチングを通して、あなたが「あなたらしさ」を取り戻し、発揮していくお手伝いをいたします。

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